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No2 倍音とギター調整の関係

倍音とギター調整の関係


以前にとあるコレクターの方の持つマーチン41 DXが鳴らないという依頼があり観させて頂きました。確かに縦ロゴ40番台の倍音を感じにくい音になっていました。それで,短い時間でロッド,フレット,サドル底面を調整したら40番台の倍音を感じるギターになりました。元々構造的に倍音を発生していたはずなのに,ギターの調整がずれていると倍音が聞こえにくくなるのです。



これらの調整の一番最初にするべきなのはどれでしょうか?それはサドルの底面なのです。ここがフラットでないと出てくる音の判断を間違う事もあるのです。


サドル底面の削りが悪く1-2弦が浮いてしまう場合には,


(1)1弦20Fの超高音も出ない

(2)6-1弦の音量バランスが悪くなる

(3)1-2弦の輪郭が出ないという症状が現れます。


サドルのせいでこういいう音になっているのに,1弦の音が弱いのを何とかしようとして,間違った調整をしてしまう職人もいるのです。1弦だけ音量が小さい時にあるギター製作家はサドルの後ろのブリッジに弦通し溝(ノッチ)を深く切りました。これは完全に元には戻せないので調整というより改造です。もしこの後サドルの底面を仕上げたら1弦だけ他の弦と音質が変わる可能性があるのです。


なので最初にチェックすべきはサドルの底面なのです。つまり調整の第一歩はサドル下の底面をフラットにする事と底面と側面を90度に仕上げる事です。


あなたのギターもこの調整だけで音が大きく変わります。音量が上がり,低音の厚みが増し,高音弦の輪郭が聞こえて,6-1弦の音量バランスが整います。良いことしかありません。重要な点としてこの状態で初めて倍音が聞き取りやすくなります。


この音を基準として,ナット溝の切り方,フレットの仕上げが関係してきます。とにかく何度も言いますが,最初にチェックするのはサドルの底面です。本来のギターの音が出ていないのに別の場所をいじってしまうと後でサドルを調整した時にやり直しになるのです。


それを解決するためにその昔「ナットサドルジグ」というものを開発いたしました。しかし,その後製造してくれていた中国の工場と疎遠になり,次なる工場を探していたのですが,この度ついにベトナムの工場で試作品を作る事が出来ました。




そのクオリティが中国製よりも良く,しかも一本ずつ丁寧に錆止めのオイルを塗ってペーパーとラップで包んで送って来たのです。何かこの丁寧さが日本のきめ細やかなものに近くて嬉しくなりました。ベトナムの手工芸は確かに日本人に通じる細かさがありますね。それで,一時期品切れだったジグをもう一度販売出来る様になりましたので,特別価格11000円税込送料込みで販売いたします。




すでに使用された方々の感動と感謝のメールがたくさん届いております。


以前のジグの記事と一緒にご覧くださいませ。


ボタンを掛け違えるということわざがあります。


シャツの上のボタンをかけ間違うと最後までずれていきます。結果もう一度ボタンを全部外してからかけ直すので,時間と労力の多くが無駄になるという例えですね。


実はギターの調整も全く同じなのです。ぜひ一度ご自身のギターの本来の音を聞いてみてほしいというのが私の願いです。


ギターは調整されるとより倍音が聞こえやすくなります。



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